青春

現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる④

ひったくりちょうど郵便局の前を通りかかったときだった。出口から出てきたお婆さんの手から、若い男が鞄をひったくった。それは、私たちのほんの五メートル先で起こった、一瞬の出来事だった。門脇くんは、それを見た瞬間に迷いなく飛び出した。私は目の前で...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる③

門脇稜太「おお! 女子の体育! 麗美ちゃんいる?」トラックを走る女子をぼんやり眺めていたら、佐々木健(ささきけん)が横から声をかけてきた。 健は俺の友人で、いい奴だが少しお調子者だ。クラスで一番可愛いと噂されている櫻井麗美(さくらいれみ)に...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる②

下校なぜか佐々木くんと門脇くんも一緒に帰ることになり、私たちは校門まで三人で歩いていった。 ……正直、気まずい。 ほぼ初めてと言っていい組み合わせだからか、会話もなく、ただ無言で歩くばかり。沈黙が肌にまとわりつくようで、落ち着かない。何か話...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる①

夏が始まる『日本で一番暑いまち』として知られる埼玉県熊谷市に、私――伊藤明里(いとうあかり)は暮らしている。 百貨店前に設置された大温度計が、国内観測史上最高の41.1度を記録したのは、まだ記憶に新しい。うだるような暑さの中、隣の席の山田さ...