青春

現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる⑪

紋別へ「クマ? 確かに有名だけど……熊の木彫りをお土産に買う人、初めて見た」「北海道の定番だろう?」旅行するのに荷物になるし、置物だからもらっても困る人もいるだろう。 ……まあ、自分の部屋に飾るならいいのかもしれない。 デカすぎるとは思うけ...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる⑩

スープカレーすすきののホテルは激戦区らしく、驚くほど安く泊まれる。 「先に荷物を預けて観光しよう」という話になった。「ツインルームだから」「え?」門脇くんはギョッと目を見開いた。「その方が安いし。二人で八千円だし」「……わかった」私も門脇く...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる⑨

北海道札幌に着くまでの間、私はずっと忙しかった。 とにかく――門脇くんの泊まる場所を確保しなければならない。まずは自分が予約しているホテルに問い合わせる。 さらに、帰りの飛行機も同じ便で取れるよう、彼の分を予約することにした。「さぶっ……」...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる⑧

旅路おじいちゃんが亡くなって、ひと月が過ぎた。学校は改修工事のため特別休校となり、今日から三連休。 私はこの連休を利用して、どうしても行きたい場所があった。 その日のために準備をし、親にも許可をもらっていた。最寄り駅の改札で、門脇くんに出会...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる⑦

学園祭当日麗美は準備をあまり手伝えなかったため、ずっと縁日の当番を任されていた。 本人も「申し訳ないから、私が当番やります」と自ら引き受けた。 そのあたり、彼女は見た目に反して男気がある。文化祭の準備を手伝わなかったことで、女子たちから嫌味...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる⑥

学園祭の準備高校の学園祭では、各クラスが出し物や劇、模擬店などを企画する。 毎年のことだが、この時ばかりはクラス全員が協力し、絆を深める時間だ。私のクラスは縁日をやることになった。 射的、ダーツ、ボールプール宝探し、モグラたたき、輪投げ、ミ...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる⑤

箒男子たちが掃除中にふざけて、部室棟の屋根へ箒を投げた。 それがトタン屋根に引っかかり、落ちてこなくなってしまった。数人で何とか取ろうと試みていたが、どう頑張っても届かない。「稜太、肩車してくれ!」 「マジかよ川崎、お前何キロだよ……いける...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる④

ひったくりちょうど郵便局の前を通りかかったときだった。出口から出てきたお婆さんの手から、若い男が鞄をひったくった。それは、私たちのほんの五メートル先で起こった、一瞬の出来事だった。門脇くんは、それを見た瞬間に迷いなく飛び出した。私は目の前で...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる③

門脇稜太「おお! 女子の体育! 麗美ちゃんいる?」トラックを走る女子をぼんやり眺めていたら、佐々木健(ささきけん)が横から声をかけてきた。 健は俺の友人で、いい奴だが少しお調子者だ。クラスで一番可愛いと噂されている櫻井麗美(さくらいれみ)に...
現代小説

だから門脇君は、ずっと私のそばにいる②

下校なぜか佐々木くんと門脇くんも一緒に帰ることになり、私たちは校門まで三人で歩いていった。 ……正直、気まずい。 ほぼ初めてと言っていい組み合わせだからか、会話もなく、ただ無言で歩くばかり。沈黙が肌にまとわりつくようで、落ち着かない。何か話...