だから門脇君は、ずっと私のそばにいる②

現代小説

下校

なぜか佐々木くんと門脇くんも一緒に帰ることになり、私たちは校門まで三人で歩いていった。 ……正直、気まずい。 ほぼ初めてと言っていい組み合わせだからか、会話もなく、ただ無言で歩くばかり。沈黙が肌にまとわりつくようで、落ち着かない。

何か話題を、と無理やりひねり出した。

「門脇くんって……自転車通学じゃなかった?」

彼は部活が忙しいせいか、登下校の姿を見かけることはあまりなかったが、確か自転車だったはずだ。

「ああ。朝、チャリのタイヤがパンクしてたんだ。だから今日は歩きできた」

「そっか……」

……会話が終わった。 まあ、無理に続ける必要もない。そう思って口を閉じた。

商店街の道に入ると、人通りが一気に増えた。門脇くんは体が大きいので、横に並んで歩くとどうしても通行人の邪魔になる。私は自然と一歩下がり、縦に並ぶ形になった。

彼はラグビー部で、ポジションはバックス。派手さはないが、チームを支える重要な役割だ。 熊谷が国体のラグビー会場になったことをきっかけに、この街ではラグビーが盛んになった――そんな話を思い出していたとき。

ふと、門脇くんが後ろを振り返った。

「縦に並ぶと、入場行進みたいだな」

私は彼の真後ろ、二歩ほどの距離を保って歩いていた。同じ速度で一列になっているせいで、確かに体育祭の選手入場みたいだ。

思わず、ふふっと笑ってしまった。

「ん?」

眉を少し上げてこちらを見るので、私は首を振って「なんでもない」と返した。

そういえば、男子と一緒に帰るのは初めてかもしれない。ふとそんなことを思う。

女子高生なのに、私は異性間の恋愛にあまり興味がない。 クラスの女子たちは、誰がかっこいいとか、誰と誰が付き合っているとか、そんな話題で盛り上がっている。 けれど私は、そういうものに心が動かない。

「好きな人が誰と話していた」とか、「誰かと一緒にいた」とか、「私と同じ人を好きにならないで」とか―― そんな不確かな状況で揺れ動く感情に、意味を見いだせなかった。

(あんたの片思いなんて、心底どうでもいい)

そう思ってしまう自分がいるから、恋愛とは縁が遠いのだろう。

「来週、花火大会だな。一緒に行く人いないけど」

突然、門脇くんが口を開いた。

「へぇ、そうなんだ」

そういえば、商店街には提灯がぶら下がり、夏祭りの準備が始まっていた。 この暑さは夜になっても続く。わざわざ人混みに出かけてまで、不快な暑さを味わう意味が分からない。

門脇くんなら、花火大会に一緒に行く友達くらい普通にいるはずなのに。 なのに、どうして「いない」なんて言うんだろう。

「一緒に行く?」

「……なんで?」

なぜ私が門脇くんと花火大会に行かなければならないのか。

「え、それ聞く?」

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